結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
「意外と似合ってる……?」

「だろ?
あと、ちょーっと化粧して、髪もひっつめやめたらよくなるって」

鏡越しににっこりと微笑まれ、頬が熱くなっていく。

「まあ、俺は今の純華だって可愛いと思ってるから、このままでもいいけどな」

見上げると眼鏡越しに目があった。
目尻を下げた彼の顔が近づいてきて、額に口付けを落として離れる。

「……人前なんですケド」

熱を持つ顔で唇を尖らせ、苦情を言う。
店員が気まずそうに視線を逸らしていて、いたたまれない。

「んー?
俺は可愛い純華に、いつでもどこでもキスしたい」

言った端から頬にキスされ、頭が痛くなってきた……。

その服はお買い上げすることにしたけれど。

「俺が払う」

私が準備するよりも早く、矢崎くんがカードをカウンターに滑らせる。

「え、自分のものだし自分で買うよ」

「可愛い奥さんを可愛く着飾らせるのは、夫の勤めだろ?」

右の口端を持ち上げ、彼がにやりと笑う。

「じゃ、じゃあ、お言葉に甘えて……」

……そんな顔されたらもう、断れなくなっちゃうよ。

どきどきと心臓の鼓動が速い。
私だけではなく店員も、頬を赤らめて視線を逸らしていた。

その後もあちこち見て回り、どこでも矢崎くんが払ってくれた。

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