結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
しかし、これくらいで引いてはいけないのだ。

「わ、私にそんな価値、ないよ」

矢崎くんは私を買いかぶりすぎだ。
いや、私を可愛いと言ったり、私と結婚したがるような人だから、女性に対する価値観がおかしいのかもしれない。

「……はぁっ」

彼から呆れるようにため息を落とされ、びくりと身体が震える。

「純華は自分を低く評価しすぎ。
言っただろ、純華には純華のいいところがあるんだって。
俺はそれに、これくらいの価値があると認めた。
だからこれでいいの」

「ふがっ」

真面目な顔して矢崎くんは、私の鼻を摘まんできた。

「別に俺にとって負担になる金額じゃないしな」

「……そうでした」

矢崎くんはあのマンションが楽に維持できるくらい、お給料以外に稼いでいる。
今日のお買い物に使っていたのも、プラチナカードだったし。

「だからほら、好きなの選べ?
気に入るのがないっていうなら、他の持ってきてもらうし」

話を聞いていた店員が、うんと頷く。

「いや、でもさ……」

それでも一般庶民の私としては、気後れしてしまうわけで。
しかも一時の結婚相手にこんな大金を出させるなんて申し訳なさすぎる。

「そういうのが純華の可愛いところだけど」

言葉を切った矢崎くんが、一気に迫ってくる。
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