結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
「普通の家には池なんてないんだよ!」

「祖父ちゃんちにはあるが?」

全力でツッコんだが、さらりとかわされる。

「そりゃ、会長の家ならあるかもしれないけど……」

なにせ戦前は財閥に属していた会社なのだ、会長の家が池付き大豪邸だったとしても驚かない。
でも、これは私たちの家の話なのだ。

「私はこぢんまりとしたお家がいいと言ったはずですが?」

わざと敬語で、矢崎くんに詰め寄ったものの。

「だからこぢんまりとした家にしたが?」

なにを聞かれているのかわからないというふうに、眼鏡の奥で彼が何度か瞬きをする。
それをなんともいえない気持ちで見ていた。
あれか、矢崎くんの家の基準は、会長の家なのか。
だとしたら仕方な……くなーい!

「これは豪邸の部類だよ、豪邸の!」

和モダンの家は間取りこそ4LDKとファミリータイプとしては普通だが、リビングだけで十人以上呼んでパーティができるんじゃないかというほど広い。

「矢崎くんの実家だって、こんなに広くないでしょう!?」

「これくらいだが?」

「は?」

さらりと返され、思わず変な声が出た。
〝普通よりも少し裕福〟って言ってなかったっけ?
矢崎くんの〝普通〟ってどういうレベルなんだろう……?

「……もー、いい」

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