バイバイ、リトルガール ーわたし叔父を愛していますー
大原へのお願い
久しぶりにすみれは大原と会った。

前回は綿貫にとうとう彼女が出来てしまい、大原の失恋を慰めるために二人で飲みに行った。

大原はお酒が進むにつれて、綿貫への伝えられない想いを吐露していった。

「直人のことを一番理解しているのは僕なのに。」

「・・・うん。」

すみれは大原の愚痴に、さりげなく合いの手を入れて励ました。

「あんな女に直人を奪われるなんて納得出来ない。」

「うんうん。わかるよ。納得できないよね。」

「もし僕が女だったら直人は僕を好きになってくれただろうか?いや、僕が女だったら絶対に直人を振り向かせてみせた筈だ。どうして僕は男に生まれてしまったんだろう・・・。」

すみれには大原の気持ちが痛いほど理解出来た。

どうして私は航君の姪として生を受けてしまったのだろう。

もし赤の他人として航君と巡り合えていたなら・・・。

何度そう自問自答したかわからない。

「ううっ・・・直人・・・。」

とうとう大原はテーブルに突っ伏して、泣き出してしまった。

「大原君。今日は思う存分想いを吐き出して、泣いていいよ。」

すみれはカウンターの隣に座る大原の華奢な背中を撫でた。

辛いよね。

悲しいよね。

自分の叶わない恋と大原の失恋を重ね、最後にはすみれも一緒に泣いてしまった。

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