波に乗る彼氏
「結婚式は6月にやりたい。6月30日ならギリ6月だ」
「けい君らしからぬことを。意外だよ。
でも30日は仏滅なのよ。7月1日にしようよー」
「それだと6月の花嫁じゃなくなってしまう」
「私は7月の花嫁で全然構わないけど」
「いや、6月じゃなきゃダメだ」
「だったらもっと早く動いてればもっと前の週とれたじゃないの」
「それはお互い様だろ」
「私は急がないもん。もっと遅い時期でもいいし」
「後ろにずらしたら夏が来ちゃうって。海が待ってるのに」
「だからって、なんで仏滅に結婚式やらなきゃならんのか」
「あんまり気にしないタイプじゃなかった?」
「それを言ったらけい君が6月の花嫁とか言う方が似合わないわ。
確かにそんな気にするタイプじゃないけど、親とか親戚とか気にし出したら面倒じゃん。
お義父さんお義母さんだって気になさるんじゃないの」
「うちは…ほら、キリスト教徒だから仏滅とか関係ないんだよ」
「いや何回も会ってるけど全然クリスチャンじゃなかったはず」
「かくれキリシタンなんだよ」
「なんで隠れてるのよ!」
「こんなことで争ってもしょうがない、波を逃したことを嘆くより解決策を考えよう」
「え~私が悪いのか」
「そうだ、両方やるのはどうよ。30日から1日にかけて。
インドでは何日もかけて祝うらしいし、48時間くらいどうってことない」
「めちゃ過酷そう…
そうするにしても式場押さえられるのはどっちか1日の枠でしょ」
「ううむ」
「でも発想は悪くないかも。気持ちとしては2日とも結婚式なのよ。
30日に役所に婚姻届を出して、1日に式をやる。ああ30日の夜食事会をやるのもいい」
「土曜に出せたっけ」
「大丈夫、受け付けてる」
「…なるほど、アリだな。それなら6月に結婚したと言える」
「じゃあ7月1日大安を予約する方向で進めて大丈夫ね?」
「ああ」
「よっしゃー」
「ってかそれなら連日じゃなくても、役所はもっと早くていいよな。
何なら大安の日にも出せる」
「そう、そうだよよく気づいた!けい君冴えてる」
「それほどでもねーよ」
「この先ぶつかることもあるだろうけど、こうやって話し合って解決の道が見つかるかもしれない。
そういう気持ちが大事よね」
「大げさだな。まあ異論はないわ」
「私たちの将来は安泰だ」
「あんまり凪でも困るけどな」
「しかしホント6月の花嫁なんて言葉を聞くとは思わなかったよ」
「そうか?サーファーにとって稲村ジェーンは絶対外せないだろ」
「…うん?」
「ジェーンブライドを逃す訳にはいかない」
「えーっと。
ジェーンではないですね」
「え、あ、違うの?」
「うん違うし、何ならジューンブライドはキリスト教由来でもないかな」
「マジか。世の中どうなってるんだ」
「ちなみに7月は英語で何て言うかわかる?」
「何だっけ。最初はJだったような気がする」
「そう、合ってる合ってる」
「ジョニーだな!」
「ブレないなあ。
でもそんな君を選んだんだ、もう肚はくくった。
一緒にいろんな波を越えていこう!」

(おわり)
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