光の行く末は【転生したら、魔王の側近でした×アテナ・イェーガーシリーズ】
「ルーチェ!」
呪具を持つ魔法使いが起こした風に巻き込まれ、思い切り壁に叩き付けられたルーチェは、そのまま床に倒れ込んだ。
ゾーイの攻撃を避けた魔法使いは、ルーチェに向かって片手に持っていた杖を向ける。
「ルーチェさん!!」
ロネとオリバーの声が、重なる。2人は、魔法使いがルーチェに向かって、何かの魔法を放とうとしていることに気が付いたのだ。
「……」
ルーチェは倒れ込んだまま動こうとせず、ロネはルーチェを助けようと動き出した。
「……ティム、ルーチェのあれって……」
「多分、状態異常だろうね。さっきの魔法使いが放った魔法に、状態異常系の魔法が混ざっていたのかも」
魔法使いが呪文を唱えると、杖先から現れた光線がルーチェに向かって飛んでいく。
(ダメだ!間に合わない!!)
ロネがそう思った瞬間、ルーチェの前に誰かが着地する。その反動で青みがかった黒髪が揺れ、赤い瞳が光線を捉えた。
彼はすぐに持っていた剣で、光線を弾く。
「……ねぇ。僕の大切な家族に、何してるの?」
「…………クラル様……?」
ルーチェの前に現れたのは、ルーチェが側近を務める魔王のクラルだった。
「ルーチェ、助けに来たよ」