光の行く末は【転生したら、魔王の側近でした×アテナ・イェーガーシリーズ】

いつの間にか動けるようになっていた体を起こしたルーチェの方を向き、クラルはニコリと笑う。

「クラル様だ……いつもの、クラル様だ……」

ルーチェの綺麗な紫色の瞳から、綺麗な涙が零れた。それを見たクラルは「ごめんね、ルーチェ」と剣を床に置いてからルーチェを抱き締める。

ルーチェは、子供のように泣きじゃくった。クラルは、ルーチェを抱き締める力を少し強くする。しばらく泣いていたルーチェは、泣き疲れたのかそのまま眠ってしまった。

ルーチェをアーサーとティムに託し、クラルは剣を拾う。

「…………わざわざ待っててくれたんだね？隙は、いくらでもあったでしょ？」

「すぐ倒れられても、つまらんからな。仕方なく待ってやったんだ……というか、お前……どうやって、俺がかけた魔法を解いた？ルーチェとかいうやつに関する記憶を、全部消したというのに」

「……どうやってでも良いでしょ？それよりさ、どうして……僕からルーチェに関する記憶を全部消した？大切なルーチェとの思い出を、僕から奪ったりした？」

「……どうしてって……面白そうだったから？」

理由もなくクラルからルーチェに関する記憶を消したらしい魔法使いの曖昧な答えに、クラルは剣を握る手に力を入れた。

「……理由が何であれ、ルーチェを傷付けたお前だけは絶対に許さない！！」