光の行く末は【転生したら、魔王の側近でした×アテナ・イェーガーシリーズ】
「ありがとう。何かあったら、僕に教えてくれないかな?」

「分かりました」

ルーチェとリルが話をしていると、ガサリと近くの茂みから音がして、ルーチェとリルはすぐに戦闘態勢に入る。

茂みから出てきたのは、青みがかった黒髪のクラルだった。

「リル、探したんだよ!…………それで、えっと……君は、誰?こんな所で、何してるの?」

クラルの言葉に、リルは「……クラル様、笑えない冗談はお止め下さい」と反応する。クラルの警戒したような目を見て、ルーチェはクラルが本気で言っているのだとすぐに理解する。

そのことにショックを受けながらも、ルーチェは泣きたい衝動をぐっと抑えて微笑んだ。

「……すみません。探検してたら、迷子になってしまって……困っているところを、この方に助けていただいたんですよ」

ルーチェの意外な返しに、リルは「ルーチェ様……?」と戸惑いを隠せない様子でルーチェを見つめた。

「リル、クラル様はあんな冗談は言わないはずだ。クラル様の言葉が本当のことだとしたら、僕は館にいない方がいい。クラル様が、不審に思うだけだから。しばらく、クラル様のことを頼んだよ」

ルーチェは、リルにそう言い残して2人に背を向けて歩き出す。

リルの「ルーチェ様!?」という声がルーチェの耳に届いたが、ルーチェは聞こえないふりをして走り出した。
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