光の行く末は【転生したら、魔王の側近でした×アテナ・イェーガーシリーズ】
ルーチェが足を止めたことに気がついたアーサーは、ルーチェの方を見ながら問いかける。

「ううん、何でもない」

ルーチェは、そう返してアーサーの後を追いかけた。




「……ルーチェ様、こんな所で何をしているんですか?」

あれから数日後のある日、ルーチェは館の近くにある大きな木に座って木々の間から見える青空を眺めていた。

「…………リル?」

そんなルーチェの姿を見つけ、門番をしているリルがルーチェに声をかける。ルーチェは、リルの存在に気づくとその場から飛び降りて地面に着地した。

「……ちょっと、考え事してただけだよ」

「考え事……もしかして、クラル様のことですか?」

リルの言葉にルーチェは少し驚いたような顔を見せた後、隠す必要もないと感じ「そうだよ」と答える。

「……確かに、クラル様の少し様子がおかしいですよね」

ルーチェが町で呪具が消えたという噂を聞いてから、クラルはルーチェのことを避けるようになったのだ。

「…………ねぇ。リル……僕がいない時は、どうなの?クラル様の様子は」

「いつもとは変わりはありません。しかし、ルーチェ様の名前を出すと、少し嫌そうな顔をされます」

リルは、隠すことなくクラルの様子をルーチェに伝えた。
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