臆病な私の愛し方
 私はテイキさんが言ったように、他の人に逃げられないよう捕らわれるのを想像して恐怖に震える。

「い、嫌…!そんなの嫌!!テイキさん、ごめんなさい!!私、バカでした…!私…テイキさんじゃなきゃ…!!」

 あの男の子に『取られる』と言われていたのは、私が他の人のところへ行ってしまうという意味だろう。

 私にはもちろんそんなつもりはない。

 きっとこれはテイキさんの強い嫉妬。
 私にはそんなことも分からなかったなんて。

 テイキさんは、何も考えずに他の人について行ったらこんなことになるかもしれないと、私に言い聞かせるために…

 私は思わずテイキさんに抱きつき、泣いた。

「ごめんなさい…テイキさん、忙しいと思って…。帰りが遅くなったけど、きっと私と帰る暇なんて…だから…」

 私は、テイキさんに遠慮をして連絡をせずに済ませようとしたことを強く悔やんだ。

 テイキさんに嫌な思いをさせ、こんなに辛そうな顔をさせてしまうなんて…


 テイキさんはしばらくのあいだ私を抱き締め返し、何も言わずにそばにいてくれた。
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