臆病な私の愛し方

やってきていた叔父さん

 私たちが着くと、やはり叔父さんが家の前に立っていた。

「…シンドウさん…」

「なっちゃん…!ここ数日は姿を見せてくれず、心配をしたよ。部下を学校に迎えに行かせても、いなかったと言うしね。…僕と暮らすこと、考えてくれたかな?」

 隣にいるテイキさんのことは、まるで見ていないかのように叔父さんは心配そうな表情をして私に話し掛ける。

 言い終えるとようやく、不審そうな表情でテイキさんを見て言った。

「…誰かな?その彼は」

 私は震えをこらえながら何とか返す。

「…わ、私の…彼です…。シンドウさん、あの…何度もお断りしていますが、私…」

「そうか、恋人がいたのか…。しかし、第一に説得の際に出されるはずの彼を、なっちゃんは出さなかった。誇れない恋人ほど信用出来ないものは、ないのではないかな?」

 そう言いながらも爽やかな笑顔の叔父さん。
 私はあまりの言いように呆然とする。

 まるでテイキさんが悪いというような言い方だと思った。
 私がテイキさんに言い出せなかっただけなのに、私がテイキさんを信用していないみたいに…

 テイキさんは冷たい表情で叔父さんを見たまま言い返す。

「…どういう意味でしょう?ナツはずっと俺と付き合っている。そしてナツは真っ先に俺のもとに来た。あなたがしつこくて恐ろしい、ってね」

 テイキさんは私の手をしっかりと握り、まるで私を離さないと言ってくれているかのよう。
 そのままテイキさんは続ける。

「それに、ナツはあなたが家に閉じ込めようとしたと言っていた。…あんた、ナツに一体何を言った?」
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