臆病な私の愛し方
 テイキさんのそんな言葉にも、叔父さんは穏やかな表情のまま。

「ああ。僕は、これからは変な輩がなっちゃんに付かないよう気を遣おう、と言っただけだよ」

「…ナツを家に閉じ込めて、か…!?」

 テイキさんは火花が散るのではないかというほどの鋭い目つきで叔父さんを睨みつける。

「…そんな、何処のものともつかない輩と暮らそうというのかな?なっちゃん、僕の方が身分は安定しているよ。僕なら君の好きなことをさせてあげられる」

 しかしテイキさんは自分を全く意識していないかのように私に話し掛ける叔父さんに、

「っ、ナツはっ…」

そう反論しかけて止めてしまった。

 もしかしたら、はっきり言わない私の気持ちに不安を持ったのかもしれない。

 …私がしっかりしないから…
 しっかりと伝えないから、こんなにテイキさんを困らせて…
 せっかくテイキさんが自分の隣りにいてくれるのに、私はまだ勇気も出せない…

 不甲斐ない気持ちを自分の中から思い切り追い出すように、私はようやく勇気を出して言った。

「…シンドウさん、私、テイキさんを愛しています!!テイキさんが私のこと、“飽きた”って、“嫌いだ”って言わない限り!テイキさんほど、私自身を見ようとしてくれる人はいません!私は贅沢なんかいりませんから!テイキさんと仲良く力を合わせて生きていきたいんです!!」

 やっと言えた、はっきりとした自分の気持ち。

 叔父さんは苦笑いを浮かべる。

「なっちゃん、後悔することになるよ…。それに、目上に向かってこんな失礼な言動をする男のそばにいたら君は…」
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