ふたりぼっち
「芸能人が転校してきたみたいな騒ぎっぷりだな。それか、動物園で動物の赤ちゃんが一般公開された時みたい」

美人と口々に言う先輩たちをチラリと見て、友達が言う。僕は本を読みながら「そうだね」と返した。

他学年の先輩すら話題の中心にさせている花澤さんは、同じクラスとなった女子たちと勉強をしているところだった。騒いでいる先輩たちの様子など、気にも留めていない様子だ。

「花澤さん、頭いいんだね。歴史とか全然わかんないから、羨ましい!」

歴史の問題をスラスラと解いていく花澤さんを、女子たちは「すごいすごい」と褒めていく。花澤さんは「ありがとう」と言ったものの、歴史の教科書を見て言った。

「でも歴史の教科書に載っていることや、今伝わっている歴史人物の話なんて、全然違うことの方が多いわ。現代ではかっこいい武将として名前が挙げられている伊達政宗は、実際は背が低くてそんなにかっこよくなかったし、ゲームで人気の新撰組のメンバーだって全然現代人のイメージとはかけ離れててーーー」
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