初心な人質妻は愛に不器用なおっさん閣下に溺愛される、ときどき娘
「やはり、俺の魔力にやられたのでは? 君さえよければこの寝台を使いなさい」
「あ、はい……ですが、旦那様は……?」
彼の胸の中で顔をあげると、すぐ目の前に茶色の瞳がある。
「俺は……向こうで寝る」
彼が顔を向けた場所は、二人の寝室である。一度も使ったことのない部屋。
オネルヴァを寝台に残し、立ち去ろうとする彼の寝衣の裾を思わず掴んでしまった。
「旦那様……ご迷惑でなければ、ご一緒に……」
彼女自身も、なぜそう言葉にしてしまったのかはわからなかった。だが、離れてはならないような気がしたのだ。
「そう……そうです。だって、旦那様の魔力がまた溢れてきてしまっては困りますよね。ですから、一緒に休まれたほうがいいのではないでしょうか?」
ものすごく正論を口にした気がする。だが、イグナーツは動きかけた身体をピタリと静止させていた。
「旦那様?」
拒まれたらどうしようという思いもあった。
「嫌ではないか?」
ビシッと身体を固まらせたまま、彼は尋ねてきた。だから、オネルヴァは答える。
「はい、嫌ではありません」
深い口づけを交わした仲である。今さら、共寝をするくらいどうってことはない。
イグナーツはきっちり百八十度回転して、オネルヴァを見下ろしてきた。唇がひくひくと動き、何か言いたそうにしている。
「では、失礼する」
膝をつき、寝台へとあがってきた。二人分の重みが加わり、寝台が沈む。
「できるだけ、君には近づかないようにする。だから、安心して眠ってくれ……」
イグナーツは、オネルヴァに背を向けて寝台の隅っこで丸くなった。
「あ、はい……ですが、旦那様は……?」
彼の胸の中で顔をあげると、すぐ目の前に茶色の瞳がある。
「俺は……向こうで寝る」
彼が顔を向けた場所は、二人の寝室である。一度も使ったことのない部屋。
オネルヴァを寝台に残し、立ち去ろうとする彼の寝衣の裾を思わず掴んでしまった。
「旦那様……ご迷惑でなければ、ご一緒に……」
彼女自身も、なぜそう言葉にしてしまったのかはわからなかった。だが、離れてはならないような気がしたのだ。
「そう……そうです。だって、旦那様の魔力がまた溢れてきてしまっては困りますよね。ですから、一緒に休まれたほうがいいのではないでしょうか?」
ものすごく正論を口にした気がする。だが、イグナーツは動きかけた身体をピタリと静止させていた。
「旦那様?」
拒まれたらどうしようという思いもあった。
「嫌ではないか?」
ビシッと身体を固まらせたまま、彼は尋ねてきた。だから、オネルヴァは答える。
「はい、嫌ではありません」
深い口づけを交わした仲である。今さら、共寝をするくらいどうってことはない。
イグナーツはきっちり百八十度回転して、オネルヴァを見下ろしてきた。唇がひくひくと動き、何か言いたそうにしている。
「では、失礼する」
膝をつき、寝台へとあがってきた。二人分の重みが加わり、寝台が沈む。
「できるだけ、君には近づかないようにする。だから、安心して眠ってくれ……」
イグナーツは、オネルヴァに背を向けて寝台の隅っこで丸くなった。