初心な人質妻は愛に不器用なおっさん閣下に溺愛される、ときどき娘
◇◆◇◆ ◇◆◇◆
秋桜色の絨毯が敷かれ、壁も天井もどことなく淡い。天蓋付きの四柱式の豪華な寝台に、重厚感溢れる机と鏡台があり、くつろぐための寝椅子まで置いてある。
広い窓は、レースのカーテン越しに外光を取り込んでいた。光の加減によって絨毯に作り出すレースの影は、ゆらゆらと陽炎のように揺らめいている。
ここはオネルヴァに与えられた部屋であるが、この空間が彼女には落ち着かなかった。落ち着かないなりに、居場所を見つけた。それが寝椅子の端っこなのだ。彼女はそこにちょこんと座って、本を読む。
ゼセール王国に嫁ぐと決まってから、ゼセール王国の歴史や地理や経済などを頭に叩き込んでいる。だから、寝椅子の前にあるテーブルの上には、こんもりと本が積まれていた。
――トントントントン。
扉の叩く音で、本から顔をあげた。
「オネルヴァ。調子はどうだい? 食事を残したと聞いているのだが」
「アルヴィドお兄様。お仕事は?」
アルヴィドの父がキシュアス王となったため、アルヴィドはラーデマケラス公爵の爵位を継ぎ、父王の補佐として王宮で働いている。
秋桜色の絨毯が敷かれ、壁も天井もどことなく淡い。天蓋付きの四柱式の豪華な寝台に、重厚感溢れる机と鏡台があり、くつろぐための寝椅子まで置いてある。
広い窓は、レースのカーテン越しに外光を取り込んでいた。光の加減によって絨毯に作り出すレースの影は、ゆらゆらと陽炎のように揺らめいている。
ここはオネルヴァに与えられた部屋であるが、この空間が彼女には落ち着かなかった。落ち着かないなりに、居場所を見つけた。それが寝椅子の端っこなのだ。彼女はそこにちょこんと座って、本を読む。
ゼセール王国に嫁ぐと決まってから、ゼセール王国の歴史や地理や経済などを頭に叩き込んでいる。だから、寝椅子の前にあるテーブルの上には、こんもりと本が積まれていた。
――トントントントン。
扉の叩く音で、本から顔をあげた。
「オネルヴァ。調子はどうだい? 食事を残したと聞いているのだが」
「アルヴィドお兄様。お仕事は?」
アルヴィドの父がキシュアス王となったため、アルヴィドはラーデマケラス公爵の爵位を継ぎ、父王の補佐として王宮で働いている。