結婚の条件
テーブルに並ぶ豪華な料理に見覚えがあった。
それらは全て、ついさっき入った惣菜屋にあったもので間違いないはずなのだが、明日香は自分で作ったと言っている。これはどうするべきなのだろうか、と貴也は頭を悩ませた。
今日は交際二年の記念日だった。
実は貴也には、明日香に隠していることがあった。
今日はそれを告白してから、明日香にプロポーズするつもりでいたのだ。ポケットには、給料三ヶ月分とまではいかないがリングを忍ばせていた。
貴也の隠し事は、自分の趣味についてだったが、料理が趣味の明日香ならば、少しは理解してもらえるだろう、と思っていた。
だが、事は思いもよらない方向へ転がってしまった。
貴也はふと考えた。
自分が結婚相手に求める条件は、出来れば二十代で、性格は穏やかで、料理が出来る家庭的な女性だが、明日香のほうはどうだったのだろうか。
年齢、人柄、家柄、職業、収入など色々あると思うが、何が明日香の希望と一致したのだろうか、と気になった。
見た目が中の下である自分を選んだ時点で、明日香が面食いでないことは分かっている。性格は穏やかなほうだと思う。大手商社に勤めていて、この年齢にしては収入はかなりいいほうだとも思う。
確かに収入はある。……だが、ここ数年趣味にかなりの金をつぎ込んできた。
貴也は包丁コレクターだった。
世界中の包丁を買い集める包丁愛好家だ。
買い集めた包丁はどれをとっても高価なものばかりだったが、明日香がもしもプロポーズを受けてくれたとしたら、その中でもとっておきの逸品をプレゼントしようと考えていたのだ。
それらは全て、ついさっき入った惣菜屋にあったもので間違いないはずなのだが、明日香は自分で作ったと言っている。これはどうするべきなのだろうか、と貴也は頭を悩ませた。
今日は交際二年の記念日だった。
実は貴也には、明日香に隠していることがあった。
今日はそれを告白してから、明日香にプロポーズするつもりでいたのだ。ポケットには、給料三ヶ月分とまではいかないがリングを忍ばせていた。
貴也の隠し事は、自分の趣味についてだったが、料理が趣味の明日香ならば、少しは理解してもらえるだろう、と思っていた。
だが、事は思いもよらない方向へ転がってしまった。
貴也はふと考えた。
自分が結婚相手に求める条件は、出来れば二十代で、性格は穏やかで、料理が出来る家庭的な女性だが、明日香のほうはどうだったのだろうか。
年齢、人柄、家柄、職業、収入など色々あると思うが、何が明日香の希望と一致したのだろうか、と気になった。
見た目が中の下である自分を選んだ時点で、明日香が面食いでないことは分かっている。性格は穏やかなほうだと思う。大手商社に勤めていて、この年齢にしては収入はかなりいいほうだとも思う。
確かに収入はある。……だが、ここ数年趣味にかなりの金をつぎ込んできた。
貴也は包丁コレクターだった。
世界中の包丁を買い集める包丁愛好家だ。
買い集めた包丁はどれをとっても高価なものばかりだったが、明日香がもしもプロポーズを受けてくれたとしたら、その中でもとっておきの逸品をプレゼントしようと考えていたのだ。