攻略対象者に転生しましたが推しの親友枠におさまったので、彼の初恋を見守ることにします!
「安全優先でどっかに閉じ込められてる、って話も出てる。
図書室に居たのに、教師がふたり来て連行された、と目撃者もいるし」
それを聞いてグレンジャーは席に戻り、ペンケースの中身を机の上にぶちまけた。
確か、この前中庭でオスカーから借りたペンをポケットに入れたままにしていて、いわゆる借りパク状態のペンを探した。
それがあれば、オスカーのところへ飛べる。
転移魔法は上級で、これから習うが、原理は分かるし。
何より、俺は魔法使い。
戸倉さんが『念じれば叶う』と設定した万能キャラだし。
お目当てのオスカーのペンが見つかった。
念じる、オスカーのところへ、俺を連れていけ。
ぼわーと、足元から空気が揺らいで。
ふわっとした浮遊感に、包まれて。
俺の身体が消えていく……
初めてグレンジャーの魔法を目の前で見て、大きく目と口を開いたアランも。
まだ下校していなかったクラスメートも、こちらを見ていた。
ピッパが興奮したように、頭上で親指を立てていて。
離れた場所からカールが、手を振っているのが見えた。
昨日の今日で、まだカールとは話せていなかった。
このゴタゴタが落ち着いたら。
久し振りにオスカーとお前と。
中庭で昼飯を食おう、と誘わせてくれ。