Far away ~いつまでも、君を・・・~

故郷から戻り、息つく間もなく出勤した彩。朝礼で、上司や同僚と新年の挨拶を交わすと、自分のデスクに。


「お休みは、のんびりできましたか?」


同じく今日から出勤の隣席の先輩、藤原優里に声を掛けると


「できるわけ、ないじゃない。人の顔見れば、親どころか、親戚までもが、結婚結婚ってさ。全く気の休まる暇もなかったよ。」


朝からご機嫌斜めのご様子だ。


「30歳になって、最初の里帰りだから、まぁある程度の覚悟はしてったけどさ。それしか話題や関心がないのかって、さすがにうんざりだよ。」


「やっぱり、いずこも同じなんですね。」


「彩も言われた?」


「ええ。」


「彩が言われてるんじゃ、しょうがないけど、どうなってるんだ、どうするんだって、詰められても、こればかりはどうにもなんないし。今どき、会社でそんなこと言われれば、セクハラだって言い返せるけど、親や親戚って遠慮なく切り込んでくるし、ホント鬱陶しいよね。」


憤懣が止まらない優里の聞き役に、彩はしばらく徹しなければならなかった。


そんな余裕があるのも、この時期のウエディングプランナ-は、はっきり言って暇。まず挙式が年末年始は止まり、動き出すのはだいたい中旬を過ぎてから。その件数も年間を通しても1,2を争うほどに少ない。


打ち合わせや問い合わせも、さすがに七草くらいまでは、ほとんど入らない。本体のホテルの方は、まだまだ年始の宿泊客でごった返している時期、ブライダル部門は、いつもとは違い、まったりと時が流れて行く。


たまには、それもいいだろう、なんて思いながら、三が日が過ぎて行くと、世間も仕事始めとなり、またいろんなことが動き出していく。
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