Far away ~いつまでも、君を・・・~

成人の日を翌日に控えた、3連休の中日。会場に京香と共に姿を現した尚輝は、久しぶりの緊張感と高揚感に包まれていた。


「おはよう。」


そこに先に会場に着いていた彩が、2人を見つけ、声を掛けて来る。


「おはようございます。」


尚輝は先輩に対して一礼し、京香はちょこんと無言で頭を下げる。


「いよいよですね。」


「10年、いや11年ぶりか・・・まさかあんたともう一度、一緒に試合に出る日が来るなんて、考えてみたこともなかったよ。」


「とにかく、お互い悔いのないように。」


「そうだね。」


そう言って頷き合った2人に


「尚輝、頑張って。彩さんも頑張ってください。」


京香は笑顔で声援を送る。


「おぅ。」


「ありがとう。」


2人も笑顔で答えると、会場に入って行った。


今日の試合は、なにか大きな大会の予選とかではなく、簡単に言えば初級、中級、上級の三段階に分かれたレベルを自分で選び、申し込むというスタイル。この手の大会には珍しい個人戦で、彩も尚輝も当然上級に参加する。


まずは女子の予選がスタ-ト。ほとんどの参加者が、昔取った杵柄、今は趣味で弓道を嗜むレベル。それでも上級クラス参加者は、みんな腕に覚えがある人々ばかりで、学生時代の大会とは違うが、それなりの緊張感は漂っている。


1人五射を行い、二中で予選通過。現役時代なら、恐らく難なくクリア出来た人たちばかりなのだろうが、多くの参加者が、練習はそれなりにしていても、やはり試合に臨む緊張感は別物のようで、首をひねりながら、退出する参加者が続いた。


そんな中、登場した彩は、終始落ち着いた所作で、三中させ、予選を通過。退出するさい、観覧席で見守っていた尚輝と京香に、ホッとしたような笑顔を見せた。


その笑顔に、思わず胸が躍るのを自覚した尚輝は、慌てて横の京香を振り向くと


「じゃ、俺も時間だから行って来る。」


と告げる。


「頑張って。彩さんに負けるな。」


「おう、任せとけ。」


恋人の声援に笑顔で答えると、尚輝は歩き出した。
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