れんれんと恋するための30日


「ごめんね」


福は幸の事を思って涙が止まらなかった。
この暗くて狭い場所で、幸は私のわがままのために何も言わずに待っていてくれている。
毎日、大好きな妹のことを心配して。


「福…?
実はちょっと聞こえちゃったの…
暗闇の中で遠くの方で福の声が聞こえたから。

神様と話してたよね?
私は福が神様に連れて行かれないように、ずっと手を伸ばしてあなたの意識を引っ張ってたんだけど」


福は涙が止まらない。
幸の妹を思う愛情は、きっと神様にだって勝つかもしれない。
幸の指が感触となって、福の頬を優しく撫でる。
誰よりも福を愛している双子の姉。
それはかけがえのない絆で、とてもとても温かかった。



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