れんれんと恋するための30日


「幸、17歳の誕生日おめでとう。
そして、福…
ママとパパの中ではいつまでもオチビちゃんだけど、お誕生日おめでとう」


丸い食卓には、幸の大好きな生チョコのバースデーケーキと7歳の笑顔の福の写真が置いてあった。


「お誕生日のプレゼントはね、何がいいのか分からなかったから、今度、幸の暇なときに幸の好きな物を一緒に買いに行こうと思って。
それでいい?」


福は笑顔で頷いた。

ママ達にとっては、いつもと変わらない普通の幸の誕生日。
でも、私には特別な17歳の誕生日。
こういう風に、毎年、幸の誕生日はやってくる。

幸の誕生日は福の誕生日…
必ず、今日は家族みんなが福の事を思い出してくれる日。
私はこの家で生きている。
毎年、幸と一緒に年を重ねている。


「最近の幸は、なんだか福に似てきたねってママと話してたんだ。
一卵性の双子だから似てて当たり前なのかもしれないけど。

でも、ママもパパも本当はすごく嬉しいんだよ。
福がいなくなってから幸はいつもさみし気だったけど、今の幸は心の中で何かが変わったのかなって思えるほど明るくなった。

パパ達は、幸が心の底から笑う顔を見れる事が一番の幸せなんだ」


パパ、ママ、これからも幸の中でたくさんの福をみつけてね…
幸はきっと明るくなるから…
私がいなくなっても、きっと幸の中で福は見つかるよ…



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