れんれんと恋するための30日
「幸、ただいま」
福は眠りに落ちて、幸と共有できる深い場所にたどり着いた。
「幸、いるの? 幸?」
福は不安になっていた。
福が幸の体を借りている間、幸は頭の片隅で福の行動をずっと見ていると神様から教わった。
でも、もし、そうじゃなかったら?
「幸?」
「おかえり、福」
「よかった~ 幸がいなくなったかと思った…」
幸は疲れ果てていた。
ずっと、福の冒険物語の映画を見ているような感覚で、一日中ドキドキしていた。
「福、なんだか大変な事になってるけど、大丈夫?」
「私は全然平気なんだけど、でも、幸が困ってないかって、それが気になっちゃって」
福は幸の体を借りている。
幸の人生の、ほんのつかの間の時間をもらっているだけだとしても。
「いいよ、気にしないで大丈夫。
今日、ずっと自分の目で福の一日を見させてもらった。
ハラハラドキドキの連続だったけど、でも、凄く楽しかったんだ」
幸は自分の体を貸しているという実感があまりない。
でも、幸の目に映る、福の一途で健気な頑張りがとても胸に響いた。