れんれんと恋するための30日
裏口から駅へと続く道を歩いていると、背後で「幸ちゃん」という声がした。
福が驚いて振り返ると、そこには透子が一人で立っている。
「透子さん、どうしたんですか?
それに、れんれんは?」
福は慌てて透子の元へ駆け寄った。
「ごめんね、驚かせちゃって。
蓮君には先に帰ってもらったの」
「なんで?」
福は何となく分かっていたけれど、それでも透子の口から聞きたかった。
透子は恥ずかしそうに笑うだけで、何も答えようとしない。
福は我慢強く待つことにした。
透子の口から聞くことが大切だったから。
「幸ちゃんは漫研部なんだよね。
そこにいる、あの…」
福はそんな透子が可愛らしくて可笑しくて、クスッと笑ってしまった。
「ミッチーの事でしょ?」
今度は透子が驚いた顔になる。
「幸ちゃん、知ってるの?
私と道の事…」
「はい、でも、知ったのは実は今日で。
私は透子さんがミッチーを見る目に何かがあるなと思ってて、今日部活の時にミッチーに聞いちゃったんです」
透子は、もうすでに泣きそうな顔をしている。