れんれんと恋するための30日
「幸~、幸~」
眠りに落ちた福は、朦朧とする意識の中で泣きながら幸を呼んだ。
心の奥深くにある真っ白い意識の中で、福は、やっと幸を見つけた。
「幸、ごめんね」
福は幸の体を借りて、夢にまで見た16歳の日々を生きている。
でも、自分が想像していた世界とは、少し様子が違った。
神様からもらった30日は、蓮と相思相愛の日々だと思っていた。
蓮とつき合うことを前提に、愛し合う二人しか思い描けなかった。
でも、蓮には素敵な彼女がいる。
たったの30日で、その彼女から蓮を奪えるはずがない。
じゃ、蓮とつき合う事ができないのなら、何のためにここに来たの?
大人になった蓮に会いたくて、神様に何度も何度もお願いした。
天国にいる他の人達の神様へのお願いは、大体決まっている。
残してきた家族を空の上から見守ること。
ある時は風になって、ある時は植物になって、悲しむ家族が立ち直るまで見守りたい…
神様は、そんな純粋なお願いは無条件で叶えてくれる。