憧れのヒーローはヤンキー?いや、私の王子様でした



体を震わせながら必死で自分の体を抱きしめる。

「嫌っ…!嫌だっ!」



あの男の気持ち悪い吐息が聞こえて耳を強く塞いだ。


思い出さなくて良かったのに…!
何で、私があんな目に…!






「どうした!体調が悪いか!?」

耳を塞いでた手を掴まれ、顔を上げると彼がいた。
あの時、待ち望んでた彼だ。


あの男と同じように手を掴まれているのに、彼の手は優しくて安心する。



「大丈夫か?」

固まる私に優しく問う。
声色から本当に心配してくれてるみたいだ。


…そうだ。私、

この人が好きなんだ。





「…キス、してください。」


「は…?」


「間接キスじゃなくて、…っくち、に…。」



あの時何度も思った。

初めてなのに。あの時の方がドキドキした。…あの人と初めて、したかった。



生温い感触を思い出して鳥肌が立つと同時に涙が出て、唇を噛み締める。



「……っ初めて、だったんです。…なんか、知らない人に、初めてのキ」


大きな手に口を塞がれた。
まるで、その先は言わなくて良いと言うような。


ボロボロと涙を流す私の涙を拭ってくれ、噛み締める唇も指でやめさせられる。


< 69 / 154 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop