憧れのヒーローはヤンキー?いや、私の王子様でした
体を震わせながら必死で自分の体を抱きしめる。
「嫌っ…!嫌だっ!」
あの男の気持ち悪い吐息が聞こえて耳を強く塞いだ。
思い出さなくて良かったのに…!
何で、私があんな目に…!
「どうした!体調が悪いか!?」
耳を塞いでた手を掴まれ、顔を上げると彼がいた。
あの時、待ち望んでた彼だ。
あの男と同じように手を掴まれているのに、彼の手は優しくて安心する。
「大丈夫か?」
固まる私に優しく問う。
声色から本当に心配してくれてるみたいだ。
…そうだ。私、
この人が好きなんだ。
「…キス、してください。」
「は…?」
「間接キスじゃなくて、…っくち、に…。」
あの時何度も思った。
初めてなのに。あの時の方がドキドキした。…あの人と初めて、したかった。
生温い感触を思い出して鳥肌が立つと同時に涙が出て、唇を噛み締める。
「……っ初めて、だったんです。…なんか、知らない人に、初めてのキ」
大きな手に口を塞がれた。
まるで、その先は言わなくて良いと言うような。
ボロボロと涙を流す私の涙を拭ってくれ、噛み締める唇も指でやめさせられる。