君と笑い合えるとき
こんなとっぴな行動も,静流くんには慣れたもの。

1度だめと言ったのには驚いたけど,きっと冗談に決まってる。

そうでなくても,静流くんは優しい人だから。

私は少しでも早く静流くんのもとに戻るため,早歩きで人波を逆走した。

戸惑ったように振り返り,文くんも後を追ってくる。

身長からして大きな静流くんは,波に囚われていた。



「懐かしいね」



そう私は文くんに声をかける。

大きくなるに連れて,こんな風に大きく動くことは無くなっていた。

元々運動にはそんなに積極的では無かったけど,きっと中学生の頃の方がまだよく走っていたと思う。

姿が見えなくなると,まあいいかと思ったのか,文くんは周りを気にしなくなっていて。

懐かしい瞳が私を向いていた。
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