君と笑い合えるとき
ねぇ,一体,どういうつもりなの?

どうして静流くんが,ときどきそんな表情で笑いかけるのか。

私は分からないままでいるのに。

この行為1つにまで,そんな風に理由を求めたら,嫌われちゃうかな。

だってほら,こんなにも。

血液が逆流しそうなくらい,心臓が暴れてる。

血管なんて破裂しちゃいそうで。

お祭り騒ぎの血管は,指にももちろん通っているわけで。

ねぇ,ほんとに,気付いてないの?

静流くんが女の子にこんな風にするなんて,見たことないよ。 

私のこと,どう思ってる?

その答えは。
 
やっぱり,妹,かな。

それとも,近所の子?

懐いてくれる,それだけの子?

どれも違うかな。

ただの,きこ,かな。

意識することも,関係や理由に名前をつけることもない。

ただの,きこっていう存在かな。

特別優しくしてくれる静流くんだけど,静流くんの特別は,どんな形……?

どうせなら,ね,私。

思うだけなら,許して欲しいんだけどね。

あのね,いつか,でいいから。

ずっと,待って,頑張るから。

もっと素敵な人になるって,いつも決めているから。

どうせなら,私と同じ,特別がいいんだぁ。

内緒にするしか,ない気持ちだけど。

それでも私は,静流くんの特別になりたいです。

少しだけ,握り返すのに躊躇してしまうのが。

やっぱり静流くんと私の気持ちの差,だったりするのかなぁ。

手,おおきいなぁ。
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