天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む
──フライトを終えた暁月さんに、予定通り異動に反対する気はない体を装って話をした。しかし彼は納得いかない様子のままだったので、やっぱり私は女優にはなれないとつくづく実感させられる。
でも、彼が予想外に反対してくれたのは嬉しかった。離れたくないと思っているのは彼も同じだと、その気持ちがすごく伝わってきたから。
本当にこれでいいのかという迷いも完全には消えておらず、まだお義父様にも返事はしていない。一週間の期限ギリギリまで待ったところで、なにか変わるわけではないのだけれど……。
今日の関東周辺は一日雨予報で、ディレイしている便もあるものの大きな問題は起きていない。添田さんは出張で不在だし、私が担当する離島も無事にすべての運航ができるよう願いつつ、社食でランチをしてオフィスに戻った。
ところが、とある便で問題が発生する。
出発時刻から考えて、本来ならすでに連絡が入っているはずの飛行機からの音沙汰がないのだ。おかしいと思いこちらからコンタクトしてみるも、なんの反応もない。
「城戸さん、ヒノモトエアー479便から応答がありません」
「レーダーには映っているよね?」