天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む
 挑発するような城戸さんに、江口さんというらしい彼が顔をしかめて「チッ」と舌打ちをした。

 差出人の目星がついていたから、城戸さんは『まだ手がある』と言っていたのか。しかも暁月さんまでもが推測していて、ふたりで話をしていたとは。

 目をしばたたかせていると、望さんがいたずらっぽく言う。

「拓ちゃんから今回の件を聞いて、私が彼にちょっとカマをかけてみたの。そうしたら、誰も知らない写真のことポロッとこぼしてくれたから。スペインバルに迎えに来てくれた時、私が帰る前にお手洗いに行った隙に撮ったみたい」

 望さんの冷ややかな視線を受けて、江口さんはバツが悪そうに終始俯いている。あの時、私は寝たふりをしていたからわからなかったけれど、彼もお店まで来ていたのか。

 そんな彼を、お義父様もやや目を据わらせて見やり、口を開く。

「私も、あんな写真を撮れるのは身近な人だろうとは思っていたが、君がこの空港事務所の総務係長とはね。この陰険な行いが人に知れたら、君のキャリアに傷がつくかもしれんな」
「申し訳ございません! どうか穏便に……!」

 なにげに圧をかけるお義父様に、江口さんは焦った様子でサッと頭を下げた。

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