天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む
「失礼します……って、なんで望が?」

 彼が怪訝そうに言った。私も続いて挨拶して中に入っていくと、ミーティングテーブルを挟んでお義父様と三人の男女が向かい合って座っている。城戸さんと望さん、もうひとりは知らない男性だ。

 短髪でスーツ姿の、爽やかそうな二十代後半くらいの人。彼はなんだかすごく落ち込んでいるというか、怯えているようにも見えるけれど……。

 状況が読めずテーブルのそばに立つ私たちに、望さんは腰を上げて若干刺々しい口調で言う。

「相良部長がここに来ているって聞いたから、会議の後に時間を取ってもらったの。今はお説教していたところ。拓ちゃんと莉真さんの不倫をでっち上げた、私の元婚約者に」
「っ、え!?」

 ついすっとんきょうな声を上げてしまった。

 ちょっと、情報量が多くて理解が追いつかない……。この男性がお義父様に写真を送った人で、望さんの婚約者? しかも〝元〟って言ったよね?

 混乱しまくる私の隣で、暁月さんはやや呆れ気味に腕を組む。

「やっぱりあなただったか……。俺たち以外であの写真を撮れたのは望の婚約者くらいじゃないかって、昨日電話で拓朗と話したんだが」
「ああ。盗撮するならもうちょっとうまくやらないと。コソコソしてるの見えてたよ、江口(えぐち)さん」

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