天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む
 指の動きが激しくなった途端、一気に高みへ連れられていき全身が震えた。暁月さんは湯船からザバッと上がり、脱力して肩で息をする私を抱きしめる。

「……このまま挿れて、君を直に感じたい」

 少々切なげな吐息交じりの声が耳元で囁き、一度治まったはずの熱があっさりぶり返しそうになる。子作りはまだ先にすると話したばかりなのに、私も彼が欲しくなってしまう。

 欲情している自分に背徳感を覚えるも、彼は濡れた唇をちゅっと重ねるだけ。

「でも、今は我慢するよ。まだふたりでいろんな場所に行きたいし、君に見せたい景色もたくさんあるから」

 普通の順序をすっ飛ばして結婚した私たちが、恋人気分を味わえるのも今のうちだ。すぐに子供ができても後悔はしないけれど、もう少し暁月さんの愛をひとり占めしていたい。

「うん。今は私だけを愛していて」

 首に両手を回し、恥を忍んでお願いすると、彼は「可愛すぎて理性崩れそう」と困ったように笑い、もう一度私を抱きしめた。

 それからベッドへ移動して、気絶するように眠りにつくまで思う存分愛し合った。私たちの幸せな夫婦生活は、まだまだ始まったばかりだ。


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