天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む
紹介を終えると、添田さんは城戸さんに「あとはよろしく」と声をかけて、運航援助を行っているデスクのほうへ忙しなく歩いていく。ふたりになって数秒後、まさかの展開で沈黙する私に、彼の甘い声が届く。
「会いたかったよ、莉真ちゃん」
定型文のような美辞麗句。誰にでも言っているのだろうと思うのに、動揺してしまう自分が憎い。
「……確かにティッシュは違いますね。塵くらいじゃないと」
「いつの間にそんな毒舌に」
ずーんと沈んだ顔をする私の第一声に、彼はギョッとしていた。昔から遠慮のないかけ合いをしていたとはいえ、私は好意丸出しで塩対応ではなかったから。
しかし彼はたいして気にせず、あの頃と同じ爽やかな微笑みを浮かべる。
「元気そうで安心したよ。俺も松本で一緒に働きたかったな」
初めて城戸さんの情報官の姿を見た瞬間の、強烈なときめきが蘇ってきて胸が締めつけられる。
彼と両想いだと思い込んでいた頃の記憶は正直消し去りたいけれど、あの時の光景はきっとずっと忘れられない。
「昔、城戸さんに教えてもらったことを思い出しながらやってきました。もうあの場に立てないのは寂しいけど、最後に自分が見守れてよかったです」
素直な気持ちを伝えると、彼も懐かしそうに目を細める。
「会いたかったよ、莉真ちゃん」
定型文のような美辞麗句。誰にでも言っているのだろうと思うのに、動揺してしまう自分が憎い。
「……確かにティッシュは違いますね。塵くらいじゃないと」
「いつの間にそんな毒舌に」
ずーんと沈んだ顔をする私の第一声に、彼はギョッとしていた。昔から遠慮のないかけ合いをしていたとはいえ、私は好意丸出しで塩対応ではなかったから。
しかし彼はたいして気にせず、あの頃と同じ爽やかな微笑みを浮かべる。
「元気そうで安心したよ。俺も松本で一緒に働きたかったな」
初めて城戸さんの情報官の姿を見た瞬間の、強烈なときめきが蘇ってきて胸が締めつけられる。
彼と両想いだと思い込んでいた頃の記憶は正直消し去りたいけれど、あの時の光景はきっとずっと忘れられない。
「昔、城戸さんに教えてもらったことを思い出しながらやってきました。もうあの場に立てないのは寂しいけど、最後に自分が見守れてよかったです」
素直な気持ちを伝えると、彼も懐かしそうに目を細める。