不埒な上司と一夜で恋は生まれません
和香の住むアパートは、もう新しくはないが、手入れの行き届いたアパートで。
前庭の木々はよく整えられていて、美しい花々も植えられている。
やれやれ、と和香は二階の自分の部屋の前に行き、鍵を開けようとして気がついた。
鍵がないっ!
何処に忘れたんだろうっ?
呑み屋?
それとも、課長の家っ?
そういえば、さっき、カバンが床に落ちてた。
落ちた弾みで、鍵が飛び出したのかもっ。
革ででてきている、真っ赤なりんごの可愛いふかふかキーホルダーがっ!
いや、それ以前に、家に入って寝られないっ。
すぐ目の前にあると思った、ふかふかの布団が天竺くらい遠くなった。