不埒な上司と一夜で恋は生まれません
「そう叫んだのはあなたで二人目です」
と羽積に言うと、

「一人目は誰だ?」
と問われる。

 もちろん、新聞屋さんだ。

 和香が立ち上がりながら言う。

「新聞屋さんには、大丈夫です、と言って、爽やかにランニングに行くフリしてやり過ごしたんですけどね」

「……いや、何故そこで強がる」

「それにしても困りました」
と和香は振り返り、おのれの部屋のドアを見つめる。

「そろそろ中に入って着替えないと会社に遅れてしまいます」

 羽積は髑髏のキーホルダーのついた自分の鍵を出してくると、それを見つめ、呟いた。

「うちの鍵で開かないかな」
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