不埒な上司と一夜で恋は生まれません
「へー、早く開く不動産屋さんでよかったわね」
と同じ部署の先輩、蒼井美那に言われ、
「いや、ほんと参りましたよ~。
鍵見つからなかったときのために、不動産屋さんに借りた鍵、コピーしとこうかな」
と言って、
「いやいやっ。
あんた、鍵落としたのなら、取り替えないとっ」
危ないじゃないっ、と言われる。
そのとき、
「あっ、お疲れ様です~っ」
と入り口にいた派遣社員の女の人の声が一オクターブくらい跳ね上がった。
耀がやってくる。
最近入ったばかりの人だから、課長の凶悪さは知らないようだ。
それにしても、珍しいな。
企画事業部になんの用なんだ、と和香が思ったとき、美那が耀の方を見ながら言った。