不埒な上司と一夜で恋は生まれません
で、ほんとうに呑むんだな……。
耀は、店に入るなり、小気味良さを感じるくらいの勢いで、くいくいっ、と冷酒を呑みはじめる和香を見つめた。
ちょびちょびしかやっていない自分を情けない男のように感じるが。
男の良さは酒量で決まるわけじゃないしな、とよく考えたら、当たり前のことを思う。
っていうか、こいつ、軽い物が食べたいと木の葉どんぶりにしたのでは?
何故、今、俺につられて、うどんまで頼んだ……と思いながら、和香を見つめた。
和香は相変わらず、しょうもない話をしている。
「いや~、この間、姉と喧嘩しまして。
腹が立ったので、復讐に季節外れの蚊がいたので、姉の家に連れて入ってやりました」
「……どうやって連れて入ったんだ?」
「刺されながら連れて入ったんですよ」
いや、それ、自分がかゆいだけなのでは……と思いながらも、呑気な復讐に笑ってしまう。