不埒な上司と一夜で恋は生まれません
「じゃあ、うちからタクシーで帰れ」

「近すぎて殴られますよ、運転手さんに」

「じゃあ、うちに泊まっていけ。
 部屋ならいくらでもあるぞ」

「大きなおうちですもんね。
 課長、結婚のご予定でもあって、建てられたんですか?」

 お前の中では、俺は何処のどいつと結婚する予定なんだ……。

 ……俺は、あの日、あの鍵がお前のものだってわかったとき。

 お前と結婚するのかな、となんとなく思ったんだが。

 部署も違うからよく知らないし。

 今まで、
 なんかよく笑う女だな。
 顔は結構好みだが、くらいにしか思ってなかったが。

 ……でも、なんとなく、あのとき思ったんだ。

 あまり女性に興味のない自分が結婚するのなら、石崎みたいな相手なんじゃないだろうかって――。
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