不埒な上司と一夜で恋は生まれません
「大丈夫だ。
  帰ったら、必ず、連絡入れろよ」
と言うと、わかりました、では、と和香はほんとうに猛スピードで帰っていった。

 ……普通車くらいなら、はね飛ばしそうな勢いだな、と思いながら見送る。

 あの勢いで走ってる女に声かける男もいないか、と思いながら、和香の姿が見えなくなるのを待って、中に入った。

 ガランと広いキッチンで、グラスに水を汲みながら、
「別に課長は撃ちたくないです」
という和香の言葉を思い出す。

 どうとでもとれる言葉だ。

 おそらく、なんとなく言ってみただけなのだろうが……。

 なんか含みのある言い方だった気もするが。

 まあ、聞かなかったことにしよう、と耀は思った。



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