不埒な上司と一夜で恋は生まれません
 時也はちょっとホスト風の色男で、初対面のとき、こいつとは話が合いそうにないと思ったのだが。

 正反対のタイプなのがいいのか、なんだかんだで、よく一緒にいる。

「あ、和香ちゃんだ。
 あの子、あの年入社の子の中では一番美人だよね」

「……そうか?
 いやまあ、見かけはそうかもしれないが、あの性格で大きくマイナスだと思うが」

「ざっくばらんでいいじゃん。
 っていうか、お前が同期でもないし、同じ職場でもない女子を個別に認識してるとは思わなかったな。

 へー、そうか。
 石崎和香ちゃんねえ」
と言って、何故か笑う。

 深読みすんな、と思った。

 石崎とはただ、酔って家まで送ってもらって。

 ……酔って家まで送ってもらっただけだ、と思ったあとで。

 二回とも、ほんとうにただ、酔って送ってもらっただけだったな、と気づく。
< 65 / 438 >

この作品をシェア

pagetop