「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~

寄り添うって?

 その夜、主寝室へと続く扉を見るともなしに見つめていた。

 居間でのクストディオの様子が気になりすぎて落ち着かない。

 クストディオのつぶやきが、いまだ頭と心の片隅にひっかかったままである。寝台に横になったのはいいけれど、眠りに落ちることが出来をうにない。結局、気がつけば扉を見つめていた。

(クストディオは起きているかしら?)

 扉をノックしたい衝動に駆られた。

(いや、どう考えてもそんなことダメよね)

 苦笑を禁じ得ない。
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