「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 つい先日、彼がすぐ隣で眠っていただけで、あれほど枕でぶってしまったのである。

 深夜に扉をノックしようものなら、それこそクストディオに夜這いだなんだかんだと難癖をつけられかねない。それでなくても彼に嫌われているのに、ますます嫌われてしまう。

 おもわず、溜息をついてしまった。

 とりあえず起き上がると扉の前まで歩いて行き、その前に立ってみた。

 彼にどう声をかければいいのかがわからない。それとも、こういうときにはただ寄り添うだけでいいのかしら。
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