「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
「完璧だわ」
「ありがとう」

 おもわず、彼を褒めてしまった。

 そして、静かに飲み始めた。

 心の中では、ちょうどいい機会だと思いつつ。

「カヨ、せっかくの葡萄酒だ。いまは、明日のことは抜きだ。それから、ケンカや罵り合いもなしだ。オーケー?」

 クストディオがグラスに葡萄酒を注いでくれた。
 
 それぞれのグラスをかかげて乾杯をする直前のタイミングで、彼がそう提案してきた。

 いいえ。提案というよりかは宣言、かしら。

 というか、すでにその言い方が気に入らないのだけれど。
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