「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
「閣下もこの後予定があるようですし、われわれもまわりくどいことや探り合いというのは好き好んでやりたくはないのです。閣下、遺言に添うつもりですか? それとも、阻止するつもりですか?」

 クストディオがとんでもないことを言いだした。

 たしかに、宰相しだいで臨機応変に受け答えをしよう、と話はしていた。

 展開が読めない以上、そうすることが最善の策に思えたからである。

 だけど、ズバリ尋ねるわけ? ズバリすぎて、一瞬彼がなにを言っているのかわからなかった。

 テーブルの向こうにいる宰相も呆気にとられている。

 渋い美貌が呆けたようになっている。それから、エドムンドとフェリペもポーカーフェイスを保とうとしているものの、わずかに驚きがにじんでいる。
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