「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 ヘルマンは、わたしたちが宰相と会っただけでなくアルマンド、つまり第一王子に会ったことを知っていた。ヘルマンは自分では種明かしをしなかったけれど、最初にアルマンドと打ち合わせをしていたのではないかと推察する。

 すなわち、わたしたちが王都にある自分たちの隠れ家にやって来たら、アルマンドが接触し、そのタイミングでヘルマンが王都の隠れ家に戻って来る、というふうに。

 その正否はともかく、ヘルマンはなにごともなくふつうに説明している。たとえば、わたしたちがアルマンドに隠れ家で会ったということを知っていたり、その前に宰相に会っていることを知っていたりする。だから、わたしの推測はまったく的外れではないはず。

 とにかく、ヘルマンもアルマンドと同じ目的だった。

 打倒宰相。そして、玉座はクストディオに、という目的である。
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