「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~

同志

「どうして最初のときに話してくれなかった?」

 ヘルマンの話が終ったとほぼ同時に尋ねたのは、クストディオだった。

 いまのクストディオの問いは、わたしの問いでもある。というよりか、だれでも不思議に思うはず。

「きみたちは、この国に来たばかりだ。わたしがなにを訴ようと頼もうと、胡散臭く感じられさえすれとても信じられなかっただろう? それどころか、いまでも信じているわけではない。そして、これからも信じられないだろう」

 ヘルマンは、男性にしては華奢な肩をすくめた。
< 299 / 426 >

この作品をシェア

pagetop