「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 エドムンドとフェリペについては、わたしもなにかあると推測している。

 いまのヘルマンの言葉から、エドムンドとフェリペにはなにかがあって、ヘルマンはそのことを知っているということになる。

 エドムンドとフェリペは、ヘルマンの言ったことが図星だったのか、二人は黙ったままである。

「とにかく、わたしとしては自分の身の安全とひっそりと生活出来るだけの保障があればいい。けっして贅沢は望まない。きみたちと最初に会ったあの屋敷で最低限の生活が出来ればね。アルマンドとクレメンテも、わたしとそう大差ないだろう。もっとも、アルマンドは『ハーレムを……』などと言いだしかねないが。まぁ、それもクレメンテと二人、静かな暮らしの方を選ぶに決まっているだろうが」

 へー。両親が同じというアルマンドとクレメンテは、仲がいいのね。しかも、あのアルマンドがそこまで弟のことを可愛がっているなんて。

 すこし意外だった。
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