「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 なんてことなの。

 ちゃんと調べ上げていたのね。

 ということは、クストディオとわたしの元婚約者のことも知っているのね。

「同志というかチームというか、とにかく仲間となった記念に情報を伝えよう。カヨ。きみの元婚約者だが、ずいぶんと困っているらしい。これまできみが彼のかわりにやってきた様々なことが、途端にたちいかなくなっている。書類一つとっても、まともに扱えないときたものだ。しかも皇帝を蔑ろにし、やりたい放題だ。このままだと、そう遠からずして皇太子の座を奪われることになる。いや。それどころか謀反や反乱が起こりかねない。彼自身の無能さや性格もあるのだろうが、クストの元婚約者にそそのかされているのもあるのだろう」

 おもわず、クストディオと顔を見合わせてしまった。

 その情報の内容はさることながら、ヘルマンの情報通っぷりに驚きを禁じ得ない。

 いまの情報だけでなく、わたしたちやエドムンドたちのことまでその情報量や質ははかりしれない。

< 304 / 426 >

この作品をシェア

pagetop