「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 エドムンドに連れて来られたのは、街外れの大きな屋敷だった。

 パッと見た感じだけでも、ムダに贅を尽くしていることがわかる。それから、流行を取り入れていることも。
 バラデス王国にかぎらず、貴族の間で流行るスタイルはだいたい似通っている。

 というわけで、この屋敷は貴族の屋敷の可能性が高い。

 もしかしたら、この辺りの領主の屋敷か貴族の別荘かもしれない。

 わたしの推測は、半分正解で半分間違っているということはすぐに判明した。

 謎の人物に会ったことによって。

 彼の名は、ヘルマン・サルディバル。彼は初対面で「おれは、国王になるべく男だ」と、とんでもない一撃を放ってくれた青年である。

 たしかに、ヘルマン・サルディバルはカッコいい。金髪碧眼という美貌、筋肉質でスラッとした体型。美貌に浮かぶやわらかい笑み、耳に心地いいテノールボイス。
< 38 / 426 >

この作品をシェア

pagetop