「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 とはいえ、わたしたちは一応夫婦。そういうことではないのだと、指摘や否定はしづらい。それとも、はっきり「わたしたちは偽装結婚よ」とか、「いま流行りの白い結婚なの」と白状する?

 それもまた、ある意味では癪だわ。

 どうしてそう思うのかはわからないけれど。

 いずれにせよ、ヘルマンの理不尽な妄想に付き合ってはいられない。

 彼の情報について確かめたい。

 だから、王都に向いたい旨を伝えた。
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