「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
「きりがないわ。あなた、男でしょう? スパッと言いなさいよ」
「きりがないだろう。レディファーストだ。ズバリ言ってくれよ」

 またまたまた? 苛立ちが頂点に達する。

「ドンドン」

 そのとき、馬車の扉が激しく叩かれた。

 驚きのあまり、二人して飛び上がってしまった。

 このときになってやっと、馬車が停止していることに気がついた。
< 72 / 426 >

この作品をシェア

pagetop